FC2ブログ

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

-件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

加速する自己中心

EVA破

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.』

リメイクならぬリビルド(再構築)の『序』以上に気合いの入った、ほぼ完全新作に近い力作。旧TVシリーズで言えば、第八話『アスカ、来日』の手前から第拾九話『男の戰い』までに相当するが、中身は大きく異なっている。

後半は作画がやや雑になるものの、一本のアニメ映画として非常によく出来ている。特に新キャラの真希波・マリ・イラストリアスが『仮設5号機』で活躍する前半導入部から、式波・アスカ・ラングレー(惣流アスカにあらず)の悲劇に至る中盤過ぎあたりまではスピーディーで心地良い。マリは旧アスカの役割を一部補完し、新アスカは綾波レイとの対象関係が明瞭になった。三人の女性パイロットの姓に『波』を共有させたのもそのあたりの事情からと思われる。

反面、ゲンドウや冬月、リツコの「説明台詞」はあまり必要なかったかもしれない(笑)。が、夥しい用語の整理を試みたスタッフの姿勢は評価したい。別にマニアでなくとも、最先端のCG技術を駆使して綴られるエヴァの新しい物語は十分に楽しめるはずだ。デザインを一新された各使徒とのバトルは見応えがあるのと同時に、非戦闘時の日常風景も丁寧に描かれている。幾つかの山場で流れる脱力系の「ほんわかした歌」は...まぁ、ご愛嬌ということで目を瞑ろう(笑)。ただ、この選曲や演出も含め、全般に漂う「老い」は否定し難い。声優陣の声質変化、演技は、十余年という歳月の経過を如実に顕している。

『序』を観た後でも感じたのだが、この新劇場版はシンジと各キャラクター間の「距離」「質感」が効果的に変化している。

シンジとミサト(旧作よりオトナで露出も控え目)⇒二人の類似性と成長度の差を強調
シンジとレイ(旧作より柔和で学習能力がある)⇒二人の結び付きが親密に
シンジとアスカ(旧作以上に孤独で可愛らしい)⇒ツンデレ度上昇
シンジとゲンドウ(旧作より多少はマトモな親父)⇒関係修復に希望をもたせる

等々、性格と関係性がそれぞれ微妙に変わっているため、シンちゃんがガンダムのアムロ程度には成長していく、熱血ロボットアクションになるのかと思いきや...

どっこい、そうは問屋が卸さないのがエヴァである(笑)

新シンジくん、前半こそみんなのためにお弁当を作ったりとそれなりに成長は見られるものの(つられてレイとアスカまで料理をしたりする)、やはり筋金入りのヘタレ坊やだ(笑)。自分の「思い」が父親に通じないとなるとさっさと「職場放棄」し、土壇場に戻ってきてブチ切れ大暴れの末に勝つという黄金パターンは変わっていない。TVシリーズより尺が無い分、彼の心理も行動も唐突に感じられる。

結局は自分が可愛い、自意識過剰の自己保全。自分と周囲の友人しか目に入らない優しさなど真の優しさではあるまい。己の了見がそのまま限界となって跳ね返る出口の無い「一人語り」。僕(シンジ)と君(レイ)との関係性が、第三者や中間項をすっ飛ばし「世界の運命」や「真理」に直結する、元祖セカイ系の構造はより強固に、しかも荒っぽくなっているのだ。

だが、それでこそ碇シンジ(笑)。究極のアンチヒーローである。某大河ドラマのHERO龍馬とは真逆のキャラだ(爆)

エヴァ以降(1995年)に作られた多くのアニメ、物語が、エヴァの方法論と成果を踏襲しながら、遂に乗り越えることが出来なかった理由の一つはここにあるだろう。シンちゃんはヒーローになろうなんて最初から最後まで思っていない。セカイならぬ世界など本当は知ったことではない、という以上に実感として掴めていない「失われた世界の子供」なのだ。が、このシンジ像が明確に先行しなければ、人類補完計画をめぐるゲンドウとゼーレの路線対立も際立ってはこない。何しろこの新劇場版世界は冒頭から海が赤く(容易にLCLを連想させる)、使徒が倒される度にその範囲は拡大していくのだから。

こうしたシンジの「純化」が監督・スタッフの周到な計算によるものなのか、結局こういうものしか描けないのか(笑)、続編、最終章が実に楽しみとなった。旧劇場版を更に徹底する形で、レイ(永遠の母性ユイ)と別離し、今度こそアスカ(傷を付け合っても共に生きていく他者)を取り戻す物語になるのではないか。ある意味、村上春樹の大ベストセラー『1Q84』のテーマもこれに通ずるものがある。あ、だから次回作タイトルも『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q Quickening』に変わったのか...なんてことはないよなぁ(笑)

まぁ、この二つのメガヒット作品の比較検討については、機会があればまた語ることにしたい。どちらも「もう一つの月」がキーワードだね。
スポンサーサイト

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

カレンダー

10 | 2018/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。