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悲しき瞳

先日、知人が一匹の犬を連れて遊びにきた。

雑種の中型犬で雄。歳は人間でいうと中年の域だが、顔はなかなか可愛い。
おとなしい犬だ。

いや、おとなし過ぎる。

よほど厳しく躾をされた犬でもない限り、初めて来た家では緊張して匂いを嗅ぎまくったりするのが普通だが、ほとんど動かない。ワンともすんともいわないし、こちらが食事をしていても欲しがる素振りを見せない。それどころか、頭を撫でてやっても反応が鈍い。かといって、怯えているというのでもない。

感情、表情というものをまるで出さないのだ。ただ、どこかぼんやりと遠くを見つめるような目。

聞けばこの犬、捨て犬か迷い犬で、保健所で処分される間際ボランティアに救われ、一時的に預かっているのだという。保健所に連れて来られる前にも飼い主に放っておかれた犬らしく、確かにお手もお座りも全くしないし、人間の動きに興味を示さない。怖がるでもない、怒りすらない、ヒトという存在に絶望するかのように、「彼」は決して馴染もうとも、媚びを売ることも無い。要するに、愛情を注がれた記憶がほとんど無いのだろう。

死地から脱してきたものだけが持つ、悲しい瞳。生きながら死んでいる諦観の瞳。

この無害な動物がこんな悲しい目を持つに到るまで、人間は「彼」にどれだけの恐怖と屈辱を加え、あるいは無関心で応じてきたのか。


彼らが帰った後、僕はネットで年間に処分される放棄ペットの数を調べてみた。年々減少傾向にはあるようだが、それでも毎年夥しい数の動物が機械的に処理されている。生まれて間もない可愛らしい子犬たちが、己の運命を悟るように檻の中で小さく寄り添い合っている写真を見て、僕はらしくもなく吐き気を覚えた。我々の消費社会に潜むこの「残酷」は、現在進行形で世界各地で起きている残酷、歴史上の様々な残酷と精神の地下水脈で繋がっている。「彼」に何もしてやることの出来ない僕もまた、そのささやかな一部ではあるのだろう。

とりあえず、僕は「彼」の頭や喉をひたすら撫で、痩せた足を摩ってみた。「彼」は僅かに気持ち良さそうに暗く濁った瞳を細めた。次に甘いケーキやお菓子を口元に運んで食べさせた。「彼」は戸惑いながらも少しずつ食べ始め、やがてもっと欲しがる素振りを見せた。


「彼」がこの先どんな運命を辿るのか、僕にはわからない。
少しでも「よい思い出」を与えてやれたら良かったのだけど。
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