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あの橋を渡るまでは...

兄弟でした...

『ゆれる』

ゆれる

2006年邦画界の各賞を席巻した作品。これ、観たかったんだよね。監督・脚本は西川美和さんという三十代の女性。逸材です。

ネタバレを含みますが、簡単に紹介してみましょう。なお、ボクは監督の手になるノベライズも読んでみたので、そちら側からの解釈も多少混入しています。

東京で写真家として成功した早川猛(オダギリジョー)は、母の一周忌のために帰省(山梨県らしい)する。彼の愛車は年代もののフォード・ステーション・ワゴン。見栄えは良いが何しろ燃費が悪い。実家に到着する途中、父が経営する寂れたガソリンスタンドに立ち寄ることになる。父と兄の代わりにヤンキーくずれのアルバイト店員と、幼馴染の智恵子(真木よう子)が働いていた。美人だが垢抜けないこの娘、実は上京する前に猛が付き合っていた女であり、何となく気まずくて挨拶もせずに去ってしまう。

法事の最中に背広も着ずに現れた次男(実は一年前の葬式にも仕事で出席せず)を、頑固一徹な父・勇(伊武雅刀)は詰り、猛は反発する。母さんをこんな田舎に押し込めていたのはあんたじゃないか! 取っ組み合いになる寸前で、兄の稔(香川照之)が割って入る。地味でおとなしい兄は子供の頃からやんちゃな弟を常に庇い続けてきた。父の言うことは聞かない猛だが兄には頭が上がらない。母の形見分けに八ミリフィルム映写機とテープ(猛の才能は母譲り)も取っておいてくれたのだ。

が...

法事を済ませガソリンスタンドに戻った際、兄と智恵子が仲良くしているのを見た猛は、何とも言えない複雑な気分になる。もうここに俺の居場所はないのか。
知恵子を車で送る途中、猛は何の気なしに昔のように「誘ってみた」。簡単に猛を部屋に上げてしまう知恵子。激しいSEXに溺れる二人。猛には特に意味のない行きずりの行為だが、知恵子にとっては違った。
遅くなって帰宅した弟を兄は優しく迎えてくれる。その優しさに、罪悪感を覚える猛。

翌日、兄弟は知恵子を連れ、昔家族でよく遊びに行った美しい渓流へと出かける。子供のように不自然にはしゃぐ稔を横目に、智恵子は猛に囁くのだった。

「あの人、もう気付いているんじゃないかしら」
「あたし、もう今までみたいにはいられない」

が、猛は今更知恵子とやり直す気もなければ、兄の平穏な生活を乱す気持ちも更々ない。相手にせずに古い吊り橋を渡り一人奥へと入っていく。呆然と佇む知恵子に今度は稔が話しかけるが、彼女はかまわず猛を追って吊り橋を渡っていく。追いかける稔。実は彼は高所恐怖症(ノベライズによれば器官的な問題あり)で、渡る途中で知恵子に縋り付いてしまう。

「触らないでよ!」

毛虫でも払い除けるように突き放す女。稔は驚き、激しいショックを受け、やがてその表情はどす黒い怒りに転じた。

女は川に落ちた。

橋の上で見苦しくうろたえる兄を、駆けつけた弟は抱き締める。震える兄の腕には深い傷の痕が。兄ちゃんは何もやってない、俺は何も見ていない。これは「事故」だったんだと言い聞かせる猛。警察もそのように判断をし、知恵子は転落死として葬られる。

だが、稔は独り苦悩を続け、猛の帰京と入れ違いに発作的な暴力事件を引き起こし、取調べの際、知恵子を「殺した」のも自分だと刑事に告白する。慌てた猛は伯父(父の兄)で弁護士の修の事務所に大金を持って駆け込んだ。兄ちゃんを助けてくれと。

それなのに...

法廷と面会室で見せる兄の顔が変貌していくのだった。したたかな演技力、不敵で虚無的な笑み、憎悪に満ちた外界への攻撃性...

猛は次第に不安になっていく。「ゆれる」。

俺は兄という男をどこまで知っていたのか。
俺は本当は「あの橋」で何を見たのか。
兄は知恵子を...俺のことを...

やがて猛は一つの決断をする...


いやー、予想以上によく出来ていましたよ。巧みな演出、鏤められた伏線。ラスト付近は若干間延びしますが、文句なしの出来栄えです。映画内でよくわからなかった部分は、見事に小説で補完しています。それでも受け手に対し容易に結論を示さない、何通りもの解釈を楽しませてくれる。正直、ボクは未だに最終的な答えを見出せずにいます。

しかし、兄弟姉妹というのは難しいよね。親子とはまた違った絆があり、確執があり、愛憎がある。私にも弟がいますが、幸いとても仲が良い。それは早い段階で弟が兄と違う生き方を自ら選び、上手く離れて行ってくれたからだと思う。この早川兄弟は物理的に距離を置いたにも関わらず、精神的な葛藤というか「もたれ合い」を処理出来ないまま時を重ねてしまったんだろうね。映画内では詳しく語られてはいませんが、兄弟の父・勇と弁護士の修の間にも別の意味でこじれた関係があり、早川家全体に見えない影を落とし続けていたらしい。この四人の男たちは、最終的にその「代価」を支払うことになったのでしょう。家族・血縁の問題というのは、若いうちは無自覚でいられても、いずれ誰にも等しく老いと病と死が追いかけてくるのだから、そう簡単には逃げられないんだよね。支配的宗教が無い日本でも血縁地縁の縛りはきつい。いや、無いからこそ独特のきつさを備えているとも言えるかな。

どんな役をやらせてもサマになるオダギリさんもさることながら、何しろ香川さんの怪演が素晴らしいの一言。稔兄ちゃん、最後の最後まで何を考えているのかわかりません、正体が掴めない(笑)。面白いところでは、刑事役でピエール瀧さん(電気グルーヴ)、検察官で木村祐一さんがそれぞれ抜擢されていて、いい味を出しています。それと、端役かと思われたガソリンスタンドのアルバイト店員(新井浩文)が、最後にとても重要な役割を果たします。ノベライズでも彼の述懐が総括になっている。

旧約聖書の『カインとアベル』を意識しつつ(猛の写真集のタイトルが『ノド』)、神話的原型要素、兄弟の原罪物語を現代日本の限定空間に取り込んだのはお見事。あ、偶然にも『バベル』と同時期に観てしまったね。予算のかけ方といい、実に対照的な手法ですな。
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